木の実たち

シキミ

シキミ

葬儀の時、主に仏教において使われる花・植物。毒性が強く、強烈な香りを放ち、仏様や故人に捧げる香りとして相応しいと考えられていた。また、仏様の世界にある「青蓮華(しょうれんげ)」の葉っぱとよく似た形をしていると考えられ、仏教の供え物の花として用いられた。果実に有毒成分を含むため「悪しき実」とされ、これが転訛しシキミと呼ばれるようになった。

サルスベリ

サルスベリ

樹皮が白くなめらかな手触りをしていることが特徴。猿も滑って落ちてしまうほどツルツルという様子から、サルスベリと名付けられた。ピンクや白、濃い紅紫色、紫色に染まった花びらを、7月~10月の約100日間ほど咲かせる。漢字で「百日紅」と書く理由の背景には、花が100日間咲き続けるからという説や、朝鮮半島のある村での悲しい恋の物語とする説がある。

ナツツバキ

ナツツバキ

古くから寺院などの庭に「シャラの木」と称して植えられてきた。6月~7月にツバキのような花を咲かせる。「ナツツバキ」という名前は花の形がツバキにとてもよく似ていること、開花の時期が夏という特徴からつけられた。別名の「シャラの木」は、仏教の聖樹である沙羅双樹(サラソウジュ)と間違えたことにちなんでいるとされている。シンボルツリーとしてもとても人気。

ムラサキシキブ

ムラサキシキブ

「源氏物語」の作者・紫式部とは何も関係ないが、イメージして名付けられたとされる。日本には古くから自生しているため、環境にあっており、育てるのは簡単。紫色の実をつける樹木は珍しいとされる。

マユミ

マユミ

マユミは日本に自生する植物で、漢字で「真弓」と書く。これは、木質が綿密でゆがみが少なく耐久性に優れるため、弓の材料として用いられたことに由来する。「真」は「最高」の意味があり、マユミが高級な弓材であったことがわかる。枝にぶら下がるように実った、朱色がかった赤色の四角い果実は熟すと中から、紅オレンジ色の仮種皮(かしゅひ)に覆われたタネが現れ、落葉後も残る。

ムクゲ

ムクゲ

韓国の国花として有名。7~10月前半、ハイビスカスを小ぶりにしたような花を咲かせる。ムクゲの花は、色や咲き方のバリエーションが多く、種類が豊富なため、世界中で愛されている庭木になっている。寒さに弱いため、夏の花木として知られている。

カラスウリ

カラスウリ

日本の山野に自生するウリ科のつる性多年草。つるを伸ばし、周囲の樹木に絡みついて大きくなる。花の咲く時期は夏で、日が暮れると開花し、朝には閉じてしまう一夜花。名前の由来は、カラスが食べるからと言われているが、鳥がカラスウリを食するところを見たことがない。葉が大きく生育旺盛なので、絡みついた木を枯らしてしまうことから、枯らす瓜がカラスウリになったという説もある。実は10~11月頃の秋が深まる時期に色づく。色づく前はグリーンに薄っすらと縦に縞模様が入っている。種の形状も特徴的であり、それが縁起が良いとされ、お財布に入れておくと金運が上がると言われている。

 
モッコクの実

モッコク

モッコクは、江戸五木(えどごぼく)といわれる江戸時代に江戸で重視された造園木の一つ。実は、花の後の10月~11月頃に赤く熟し、アカミノキ”という別名もある。株が2パターンあり、実を付けない株もある。6月の後半から7月にかけてクリーム色の花を咲かせるが、真冬から大きなツボミをつけており、咲くまでに半年以上かかっている。名前の由来は、その持つ香りがセッコク(岩などに着生するランのこと)に似ていることから、“香りがセッコクに似た木”という意味で命名された。

どんぐり

黒保根のどんぐり

・コナラ:日本の主要なナラ。ミズナラの別名であるオオナラ(大楢)と比較してつけられた。

・ミズナラ:コナラに対して樹高も葉も大きい。

・ナラガシワ:柏餅(かしわもち)に用いる葉として知られる。

・フモトミズナラ:モンゴリナラと呼ばれていた。大陸産のものではなく、国内に分布するミズナラから分化したもの。

まつぼっくり

リスが食べたまつぼっくり

リスの食べ方は驚くほど綺麗で、まつぼっくりの残骸はエビフライに形が似ている。まつぼっくりを食べる動物はリスだけではなく、猿や鳥、ムササビなど数多くの動物たちの食料となっている。

ダイダイ

だいだい

原産はインド・ヒマラヤ地方で、日本には中国を経由して入ってきたと伝えられている。ヨーロッパではサワーオレンジ、ビターオレンジと呼ばれており、マーマレード用に栽培されている。実った果実を収穫せずにいると、落下することなく2~3年はそのままの状態でいる。一つの木に1年目の果実、2年目の果実、3年目の果実といろいろな世代の実がなるところから、「代々=だいだい=橙」と呼ばれるようになり、縁起が良いとされた。だいだいをそのままにしておくと、春過ぎ頃にはまた緑色に戻ってしまう。そのため、「回青橙(かいせいとう)」とも呼ばれている。

みかん

みかん

日本でみかんと言うとき、一般的には「温州みかん」の事を指す。名前の由来は中国の温州地方から。そこで作られたみかんは非常に美味しかったからという経緯がある。イギリスでは温州みかんのことを「satsuma(サツマ)」と呼ぶ。そのきっかけは幕末にまで遡り、薩英同盟が結ばれた際に友好の証として薩摩藩からイギリスに苗が送られたことに由来するそう。日本独自の温州みかんは、突然変異により誕生したもので400年ほど前に種なしのみかんが生まれた。

ツルウメモドキ

ツルウメモドキ

耐寒性の強い日本原産の落葉樹。果実や葉の様子がモチノキ科のウメモドキに似て蔓性であるため、ツルウメモドキと名づけられた。晩秋から初冬に黄色く熟すと外皮が3裂して、黄色の仮種皮に包まれた赤い種子が現れる。この果実はツグミ、ウソなどの野鳥やテン、ニホンザルなど多くの生き物たちが食べる。完熟すると甘くて美味しく食べられる。ツルウメモドキ属は世界に30種あり、日本には本種のほかに4種が分布する。

ゆず

ゆず

中国が原産地といわれる。古くは「ユ(柚)」と呼ばれていたが、酸っぱいので「ユのス(柚の酢)」と呼ばれるようになり、その後「柚子」に変化したとされている。5~6月に小さな白い花を咲かせる。ゆずには、本ゆず・花ゆず・獅子ゆずの3種類がある。本ゆずは、柑橘系の中でも特に酸味が強いといわれ、香水や精油などにも使用されていたり、果皮を煮詰めてマーマレードにも使用されている。本柚子と比べて、果実が小さいのが花柚子。獅子ゆずは、果肉が人の頭くらいの大きさで、約20cm以上にもなり非常に大きいのが特徴。

はっさく

いちじく

名前の由来は、中国での名前「映日果(エイジツカ)」がなまってイチジクとなったという説と、一日一個ずつ熟すから、または一か月で熟すから「一熟」と名がついたという説がある。食用とされる部分・実は厳密には果実ではなく、イチジクの花にあたる部分である。外側からは花が見えないため、「無花果」という漢字が当てられたと言われている。アラビア半島が原産とされ、西アジア・アラビア南部で、アダムとイブの話の中で出てくる”禁断の果実”とはいちじくのことで、古来からあったことをうかがわせる。

さる

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