木の実たち

ヤドリギ

ヤドリギ

樹木の上の方に丸く鳥の巣のような形状で寄生する植物で、漢字で書くと「宿り木」あるいは「寄生木」。ヤドリギは永遠を象徴する神聖な樹とされていて、昔からヨーロッパではクリスマスツリーにヤドリギの枝を飾る習慣があった。ヤドリギの種子は樹皮からは発芽するが、土からは発芽しないという不思議な特性がある。この為地面に落ちた種からは発芽せず、ヤドリギを種から発芽させて育てるのは難しい。

カキ

カキ

日本古来の植物で、いまやヨーロッパでも「カキ」で通じるほど。農家の庭先に実る柿に郷愁を覚えるなど、日本の風土に根付いた秋の果物となっている。原産地は中国。秋には渋柿と甘柿があり、これらの違いは渋み成分「タンニン」が口の中で溶けるかどうかで決まる。溶けると渋くなり、溶けなければ甘くなる。幼果期はどちらも渋みが溶ける「可溶性」タンニンを含むが、甘柿は成長過程でタンニンが「不溶性」に変化して口の中で溶けなくなり、渋みを感じなくなる。柿にはビタミンCが豊富で、万病のもとと言われる風邪を予防する。

アップルキウイ

アップルキウイ

中国が原産で果実の形が丸く、肩が盛り上がった形状でリンゴに似ていることから日本では「アップルキウイ」や「センセーショナルアップル」などと呼ばれている。果肉の色は収穫時点では緑色が強めだが、追熟と共に黄色っぽくなっていく。ごく一般に知られるキウイは皮の産毛が特徴的であるが、アップルキウイには産毛がなく皮が比較的剝きやすい。また、アップルキウイは生産者が少なく、全国的にも流通量は少ない。主に静岡県で栽培されているが、群馬県や和歌山県と各地で栽培が行われている。

ネコヤナギ

ネコヤナギ

湿地を好み、山間部から平地まで河川などの水辺に多く自生する。花穂(かすい)が猫の毛(しっぽ)のように見えることから、ネコヤナギという名が付けられた。柳の中でも早く咲き早春に花穂が開くため、春の訪れを知らせる花として親しまれている。花穂の先は必ず北を向くため、「コンパス(方位磁針)プラント」とも呼ばれる。

キリ

キリ

キリ(桐)は切ってもすぐに芽を出しどんどん成長するため、「キル(切る、伐る)」が名前の由来となっている。また、木目が美しいので「木理(キリ)」が由来という説もある。キリは日本では最も軽い(密度が低い)木で、防湿効果に優れ、同時に収縮・膨潤率が低く木材としての狂いが小さいことも特徴。桐材は琴や筝(そう)として使われている。果実は熟すと二つに割れ、中から硬い翼のある種子が数千個も飛び出す。

ハナモモ

ハナモモ

「ハナモモ」の実は食用には向いておらず、食用の「実桃」と区別するためにそう呼ばれている。美しい花を鑑賞するためにモモを品種改良して作られた。ハナモモの花の色は赤・ピンク・白などの色があり、白い花と赤い花の両方がひとつの木から咲く”咲き分け”という種類の花も存在する。

トウガラシ

トウガラシ

中央・南アメリカ原産の辛みが特徴の野菜。原産地では多年草だが、日本では一年草として栽培される。初夏に小さな白い花を咲かせ、夏から秋にかけて赤や黄色に熟した果実を実らせる。果実はカプサイシンという成分を含んでいて、これがトウガラシの辛みの元となっている。トウガラシは世界中で数十種類存在すると言われ、ピーマンもトウガラシの仲間で、辛みが少ない生食用の栽培品種である。名前の由来は、唐から渡ってきた辛子だから唐辛子だと言われている。

 
コウヨウザン

コウヨウザン

スギに似た幅の広い葉を持つため「広葉杉」と呼ばれるようになったという。実際のところ、葉は杉よりもはるかに大きく、より長く、表面はピカピカと光沢があり、樹皮以外はそれほど似ていない。緑色の果実は熟すと褐色になり枝ごと落下する。葉や実はチクチクしていて触ると痛い。中国南部や台湾を原産地とする常緑針葉樹で日本へ渡来したのは江戸時代の末期。

レンゲツツジ

レンゲツツジ

ツツジ科の落葉低木で、高原に群生する。鮮やかなオレンジ色のツツジに似た大きな花を咲かせる。日本特産のツツジだが、中国を原産とするトウレンゲツツジの変種とされる。群馬県赤城山では県の花とされている。一つの枝からたくさん蕾が出る様子を蓮華(ハスの花)に見立てて名づけられた。葉と花、根と実には有毒成分が含まれている。

アカマツ

アカマツ

主に海沿いに見られるクロマツに比べ、樹皮が赤褐色に見えることからアカマツと呼ばれる。黒松とは対称的で、細くしなやかな枝が女性的なことから「雌松」と呼ばれることもある。雌花の後にできるまつぼっくりは長さ3~6センチ程度の卵形で、クロマツのものに比べるとやや小さい。

コメツガ

コメツガ

米粒のように細かな葉、あるいはツガに対して小さい葉という意味合いでコメツガと命名された。「ツガ」自体の語源には所説あるが、葉が継ぎ合うように生じることに由来するといった説が知られる。雄花の後には紫色をした卵型の球果(松ぼっくり)ができる。直径2センチ程度でツガよりもやや小さい。ツガ属は世界に10種あり、日本にはツガとコメツガの2種が育つ。

セイヨウハシバミ

セイヨウハシバミ

ヨーロッパから西アジアが原産。果実は堅果で、ヘーゼルナッツと呼ばれる。ヘーゼルナッツはタンパク質や不飽和脂肪が豊富。ヨーロッパでは、セイヨウハシバミの枝は昔から英知の象徴とされ、隠されたものを探し出す力を持っているとされてきた。そのことから、鉱脈や水脈探しに用いられた占いの杖として、Y字型をしたセイヨウハシバミの枝が使われた。

テーダマツ

テ―ダマツ

北米東南部を原産とする松の一種。ダイオウショウと並んで大木となることで知られる。アメリカンな名前の由来は学名「taeda(樹脂が多い)」にある。見た目や触感はアカマツに似るが、アカマツよりも枝ぶりなどが荒く、葉は2本1組で生じるアカマツと異なり3本1組で生じる。松ぼっくりは長さ10センチ弱と大型。

フヨウ

フヨウ

夏の花の代表のひとつとされるアオイ科の落葉低木。日本(四国・九州・沖縄)、台湾、中国を原産とする。フヨウという名前は中国名に由来するが、中国では「木芙蓉」と表記し、中国での「芙蓉」はハスを意味する。1日で花は終わってしまうので1日花とも呼ばれていて、長期間にわたって毎日次々と開花する。

エゴノキ

エゴノキ

薄緑色の果実は長さ2センチほどの卵型で、9~10月頃に熟し、中には種子が一粒含まれる。果実は食用にならず、噛むと「えごい(えぐい)」味がすることから「エゴノキ」と名付けられた。若い実の果皮が石鹸の代用になるためセッケンノキとして古くから実用されていた。新緑が美しい5~6月になると、枝先いっぱいに鈴のような花が咲く。独特の美しさがあり、「森のシャンデリア」と称される。

 

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